毛髪は「毛包」で作られる
毛髪は、地肌から出ている「毛幹」と、地肌の中にある「毛包」に大きく分けられます。普段私たちが目にしているのは毛幹部分ですが、髪の成長に大切な役割を果たしているのは毛包の方です。毛包の先端の膨らんだ部分は「毛球」と呼ばれ、ここが毛の製造工場です。毛球にある毛乳頭が毛母細胞に「髪を作れ!」という指令を出すと、毛母細胞が分裂し、それが押し出されて髪となって伸びていきます。ぐんぐん伸びる髪は生きているように見えますが、死んだ細胞の集まりが頭皮から次々押し出されているだけです。爪と同じように肌の角質が変化してできたものです。
毛根の数は一生変わらない
髪を作り出す毛根は胎児のときに作られ、その数は生まれてから基本的に一生変わりません。また、1つの毛穴から生える髪は1本とは限らず、2~3本生えることも多いため、単純に「毛穴の数=髪の本数」とはなりません。日本人の毛髪の平均本数は約10万本と言われますが、多い人で13~14万本、少ない人で6~7万本とかなり幅があります。すなわち、毛の密度も差があることになります。毛の直径は、子供は細く、男性は思春期、女性は20代から30代にかけて最大径になり、その後は加齢とともに細くなっていきます。毛髪が伸びるスピードは、個人差はあるものの、1日に0.3~0.5mmほどです。1ケ月で約1cm、1年で約12cm伸びることになります。しかし、切らなければ延々伸び続けるというわけではなく、一定の期間を経ると自然に抜け落ちます。そして、抜け落ちた毛根から、また新たな髪が生えてきます。このくりかえしの周期を「ヘアサイクル」と言い、およそ4~6年となっています。
正常なヘアサイクル
ヘアサイクルのほとんどは、毛母細胞が分裂し髪が伸びる「成長期」が占めています。成長期を終えた毛髪は、毛包が退縮する「退行期」(2週間)を経て「休止期」(3~4ケ月)に入ります。そして、その毛穴の奥で新たに成長を始めた髪に押し出されるようにして、自然に抜け落ちます。その後、同じ毛穴で次の毛髪の成長期がスタートし、ヘアサイクルが繰り返されていきます。毛髪は、1本1本ヘアサイクルのスタートが異なり、脱毛の時期がずれるため、通常は一度にまとめて抜けることはありません。ヘアサイクルから計算すると、1日あたり50~100本程度の髪が自然に抜けることになります。成長した髪がこの程度の本数抜けるのは、ごく自然な生理現象で、心配する必要はありません。しかし、本来の成長期を全うできずに、「短く細い抜け毛」が増えてきたら要注意です。薄毛になりかけている可能性があります。